未踏の青 ボドゲ別館

ボードゲーム日記

【国内新作予定】Origins: First Builders【ルール読み】その2

日本でもテンデイズゲームズから年内8月~9月の発売が予定されている、Origins: First Builders(以下単に「Origins」と略す。)
個人的に気になっているので引き続きまとめ。前回はざっとルールを読んでみたが、今回は既存のゲームと比較してみる。

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ダイスプレイスメント

比較対象:ティオティワカン、マルコポーロの旅路

ダイスでワカプレを行うゲームは、概ねダイスの出目がワーカーの強さとなる。

ダイス運

同じダイスプレイスメントゲームであっても、ダイス運を要素として取り入れているかはゲームによって異なる。

マルコポーロはラウンド開始時にプレイヤーごとに出目を出すためダイス運に左右される局面もあるが、ティオティワカンのダイスは初期値1で自分でダイスを育てていくことができ、出目に左右されることはない。ダイスを振らないのである。

Originsのダイスは初期1とは限らないが、ティオティワカンと同様にダイスを育てることができるし、振ったダイスはまず共通の市場に並ぶためダイス運がゲームに影響することはあまりなさそうだ。

ダイスとアクションの関係

ティオティワカンもマルコポーロも、出目に応じて収入が増えるなど、ダイスが強いほどアクションも強くなる。

他方、Originsは、6は別格だが、1~5はアクションの強さに影響しない。ただアクションの条件として要求されるだけである。もっとも得点計算に影響する場合はある。

しかしOrigins独自の要素として、ダイスの色の使い分けがある。ボーナスの獲得や色を基準とした得点計算に影響する。

ダイスの成長(あるいは6の先)

ティオティワカンもOriginsも、ダイスは使用されることで成長する(数字が上がる)。

ティオティワカンにおいて、ダイスが6であった場合、そのダイスは1に戻る(転生)。ワーカーとしては弱体化だが、転生自体にボーナスがありどんどん成長させて良い。

Originsにおいて、ダイスが6であった場合、そのダイスはワーカーとしては使えなくなる(アドバイザー)。ただしアドバイザーを増やすことは、ボーナスや勝利点をもたらす。

ワーカーとしての扱い(増員)

ティオティワカンは初期3で1つだけ増員できる。
マルコポーロは初期5で増員はない(一時的に使用できるダイスはある。)。

Originsは、初期2で、メインアクション等によって市場からダイスを購入することができる(上限あり)。

Originsは5色の色の使い分けがあるほか、得点のためにダイスを減らすことがあり、増員は度々行うことになるだろう。

また市場のダイスは1色1つで、例えば誰かが赤を買えば新しく1~5の赤ダイスが補充されるが、新しく補充されたものほど購入コストが高い仕組み。

小括

ダイスをワーカーとして活用する場合、ダイス運と出目をどのように扱うかがゲームデザインの腕の見せ所ではないだろうか。

昨今のボードゲームでは運要素は省かれる傾向にあり、Originsもプレイヤー間のダイス運の差がゲームに影響することはあまりないと思われる。

しかし、ティオティワカンではダイスを振るという行為を完全に排除しているところ、Originsではダイスを振った状態でワーカー市場に供給される。これは、市場のワーカーの価値に幅があるということで、購入コストの傾斜と合わさって、例えば自分は青がほしいけど、隣に赤5を渡したくないみたいな、ちょっとした駆け引きを生むのではないだろうか。

また、6のダイスが成長すると減員になってしまったり、1~5と6で数値の価値に大きな差があったりと、Originsは比較的メリハリのきいた調整になっているように感じる。

Originsの最大の特徴は色の使い分けだろう。出目に加えて色がワーカーのステータスとなることで1つ1つのダイスに個性が生まれている。どのダイスをいつ買うか、どれを育てていくか、いつ使うかといった悩ましさが生まれそうだ。

ミニゲーム要素

テラミスティカ以降よく見られるようになった得点源となるゲーム内ミニゲーム要素。Originsでは建物からなる区域のパズル要素と、宗教トラック、軍事トラックのレース要素がある。

区域設定(パズル要素)

Originsの区域設定は、建物の建築(タイルの設置)について、指定された色の並びを作り上げるパズルである。完成時に即時得点となるし、早く完成させたほうがボーナスがある。比較対象はぱっとは思い浮かばないが、パズルを素早く作り上げるという要素は汎用的だと思われる。

Originsでは、パズルを完成させる際、区域にダイスを置かなければならない。ダイスの設置はワーカーの減員も意味する。他方、置かれたダイスの数字は後々ゲーム終了時の計算の基礎となる。具体的には、別途建設している塔の高さ(ディスクの枚数)と区域においたダイスの数値の合計の掛け算を、色ごとにやる。塔の建築はプレイヤー共通の上限があり(ディスクのストックが共有)、その数は色によって異なる(ゲーム開始時に決まる)ため、どの色の塔をどれだけ建築するか自体がちょっとしたレースと駆け引きになっている。ただパズルを完成させて終わりではない、その後のダイス入手や塔建築の見通しも考慮し、場合によっては置きたい色のダイスが育つまで完成を遅らせるという判断をする必要があるかもしれない。

また、パズルの構成物である建物にはそれぞれ効果がある。ほしい建物が完成させたいパズルのパーツにはならないという場合もあろう。もちろん建物は簡単に量産できるものではない。どのようにパーツを揃えていくかも悩ましそうだ。

トラック(レース要素)

比較対象:ティオティワカン、テラミスティカ

寺院(宗教)トラックは、ティオティワカンをはじめ、テラミスティかやツォルキンにも見られるが、Originのそれはやや異なるように感じる。

ゲーム中、ティオティワカンの宗教トラックは、上げる度に収入が得られる。テラミスティかも毎回というわけではないがパワーを得る機会が多い。この収入について、宗教トラック上の自分の順位は関係ない。たとえ最下位であっても収入を得ることができる。

他方、Originsの宗教トラックからゲーム中得ることができるのはゾディアックカードとその恩恵であるが、これは第一位でないと得られない。

いずれの宗教トラックもゲーム終了時に点数をもたらしてくれる。
ティオティワカンやテラミスティかは順位が重要で、ゲーム展開としては複数ある宗教トラックのうちどれかを選んで1つ2つに特化することが多いと思われる。そして終盤、1位を巡ってデッドヒートになったりする。

他方、Originsの宗教トラックは、ゲーム終了時、3つのトラックのうち下位2つが得点となるため、順位は重要ではなくなる。得点が目的であれば3つとも万遍なく上げる必要がありそうだ。

また、Originsには軍事トラックもある。
ゲーム中、軍事トラックを進めることで追加行動権を得られ、ゴールに到達すれば勝利点を得られる。軍事トラック上の位置に応じて、リソースや勝利点をもたらす戦闘アクションがある。また、戦闘アクションは他のプレイヤーの位置と比較して勝利点をもたらす他、毎ラウンド軍事トラック1位のプレイヤーがスタートプレイヤーとなるため、相対的な順位も重要だ。もっともゲーム終了時の処理はない。

小括

Originsのミニゲーム要素は、既存のボードゲームにも似たようなものはあるが、詳細は異なり、違ったプレイ感を得られるかもしれない。