Iron Railシリーズ【ルール読み】
記事概要
「Irish Gauge」、「Ride the Rails」及び「Iberian Gauge」の3作が出ている
Winsome Gamesの過去作のCapstoneGamesによる復刻プロジェクトである。
いずれも、ケンビルから和訳付き輸入盤版が販売されている(又は予定)。
株✕鉄道のボードゲームといえば、「18xx」シリーズや「蒸気の時代」に代表されるヘビーゲーマー御用達のボードゲームだが、いずれもプレイ時間約60分の中量級に収められている。
イアン・オトゥールによるアートもすばらしい。
購入検討のため、3作を比較しながらルール読み。
注意:筆者は未プレイであり、本記事は公開されているルールや他のプレイレビューから得た情報の整理と推測であるため、実際のプレイ感とは異なる可能性があります。
Iron Rail Archives | Capstone Games
共通事項
- プレイ人数:3〜5人
- プレイ時間:60分
- 対象年齢 :12歳以上
デザイナーは「Irish Gauge」及び「Iberian Gauge」はトム・ラッセル(Tom Russell)。
※BGGではアマベル・ホランド(Amabel Holland)となっているがルルブ準拠。
「Ride the Rails」はジョン・ボーラー(John Bohrer)。
アートワークはいずれもラセルダ作品でおなじみイアン・オトゥール(Ian O'Toole)。
各プレイヤーは複数の鉄道会社の株式を持ち、自分が株式を持つ会社の経営(鉄道の敷設)に少しずつ携わる。
鉄道ゲームの特徴の一つに、ネットワーク構築についてマップ上の強烈なインタラクションがあるが、本シリーズでは鉄道会社を共有する、すなわち構築されたネットワークをプレイヤー間で共有するため、インタラクションは比較的控えめとなっているのではないだろうか。
Irish Gauge
アイルランドを舞台に、鉄道の敷設を行う。
ターン順は固定。各プレイヤーは自分のターンに4つのアクションから1つを選ぶ。
4つのアクションとは①株式の競売、②線路の敷設、③町の都市化、④配当の要求である。
都市化及び配当の要求に必要な共通トークンが空になったらゲーム終了。
主な得点源(個人資産)は、町や都市を繋ぐネットワークが生み出す配当の分配。
②線路を敷設し、③町の都市化によってネットワークの価値を高め、④配当の要求によって利益を得るという流れ。
敷設は固定ポイントの割振り。敷設アクションによって2~3のへクスに敷設することができる。
他2作品にない最大の特徴は①株式の競売。鉄道会社の株式を競りによって獲得する。
敷設数が控えめで、ほとんどのへクスに敷設上限はなく、インタラクションが株式の競売に集約されている。
株×鉄道ゲームのうち、競売の要素に特化したものと整理できそうだ。
Ride the Rails
アメリカ合衆国を舞台に、東海岸から西海岸へ向かって鉄道の敷設を行う。ドイツ、フランス、オーストラリア、カナダの拡張マップもあり。
全6ラウンド。各ラウンドで、①株1つの獲得、②線路の敷設(7~8へクス)、③乗客輸送の3つのフェイズをそれぞれターン順に行う。
ターン順は得点(個人資産)の少ない順(株の獲得のみ逆順)。
主な得点源は、構築したネットワークによる乗客輸送が生み出す配当の分配。
ピック&デリバリーが他2作品にない最大の特徴である。
株を購入できる=敷設できる鉄道会社は最初は2社だが、1ラウンドごとに1社増え、最大6社となる。
マップは広大であるが、1度に敷設できるへクスは多く、1へクスの上限は2社であり、敷設目的は都市を繋ぎながらの西海岸への競争であるため、マップ上で強烈なインタラクションが繰り広げられそうだ。
株×鉄道ゲームのうち、ネットワーク構築とピック&デリバリーに特化したものと整理できるか。
ただし、各プレイヤーは複数の鉄道会社の株式を持つことができる。プレイヤー数3~5人でありながら最初は2社から始まるため、経営権の共有は必至。
どのようなバランスで株を持つかという選択と集中の悩ましさと、株主同士協力してネットワークを構築していきたいが、敷設ボーナスをとられたくはないという敷設の悩ましさもある。
Ibeian Gauge
イベリア半島(スペイン及びポルトガル)を舞台に、鉄道の敷設を行う。
全10ラウンド。①株の購入、②鉄道の敷設の2種類のラウンドがある。
ゲーム開始→①→②→①→②→②→①→②→②→①→②→ゲーム終了という流れ。
①株の購入は、優先取引トークンの所持者から時計回りで、全員がパスをするまで行う。最初にパスをしたプレイヤーが優先取引トークンを獲得する。
②鉄道の敷設は、株によって順番が指定されている。株ごとに1へクスの敷設が可能。
他2作品にない最大の特徴は会社資産があること。
株式には株価が設定され、株購入によってプレイヤーが支払った資金が、会社資産となる。鉄道の敷設は会社資産から捻出する。
また線路のリースという要素があり、別の鉄道会社に料金を支払うことで、他社の線路を使用することができる。その料金も、鉄道会社の会社資産から支払われる。
へクスの上限は一社のみで、リース料金は敷設コストよりも易く、会社間の資金移動は頻発すると思われる。
主な得点源は、ゲーム終了時の持株(終了時の株価で換金)とそれまでの配当金である。ネットワークの構築によって株価が上昇したり、配当金が増えたりする。
どのようなバランスで株を持ち、価値を高めていくかという選択と集中の悩ましさがゲームの中心となるだろう。
株ゲーの多くは最多保有者が経営権を独占するが、Ibeian Gaugeは1株1敷設。経営権の奪い合いはないが、妨害目的での株保有&無駄敷設があり得、わちゃわちゃとした展開になりそうな気がする。
株×鉄道のゲームのうち、資本家としての経営権の共有という部分に着目したゲームと整理できそうだ。
まとめ
重量級である株✕鉄道ゲームのうち、競売、ピック&デリバリー、経営の三要素をそれぞれ切り出し、中量級にまとめたものという整理ができそうである。
1時間程度で株✕鉄道ゲームの片鱗を味わうことができるのは魅力的だ。
また、好きな要素を選んで楽しむということもできる。個人的に競りはあまり好きではないのだが、株の持ち合いやマップ上のインタラクションは好みであり、それぞれに着目したRide the RailsとIberian Gaugeが気になるところである。
参考
フクハナのボードゲーム紹介:No.463『アイリッシュ・ゲージ (IRISH GAUGE)』 - YouTube
ライド・ザ・レイルズのレビュー by maro|ボードゲーム情報
鉄道開拓 イベリアの風! 儲けは相乗りしてきたおかげ!『Iberian Gauge 和訳付き輸入版』のご紹介。 – KenBill Official Site