未踏の青 ボドゲ別館

ボードゲーム日記

【国内新作予定】Origins: First Builders【ルール読み】

2021年海外新作。
日本でもテンデイズゲームズから年内8月~9月の発売が予定されている。
文明系フレーバーは漏れなく好きで気になっているので個人的にまとめ。

boardgamegeek.com

注意:筆者は未プレイであり、本記事は公開されているルールや他のプレイレビューから得た情報の整理と推測であるため、実際のプレイ感とは異なる可能性があります。


基本情報

  • プレイ人数:1〜4人
  • プレイ時間:60〜120分
  • 対象年齢 :14歳以上

デザイナーはアダム・クワピンスキ(Adam Kwapiński)

代表作にネメシスがあるが、テンデイズ店長によればデザイナーとしては本格ユーロが主戦場とのこと。2022年に発売予定のFrostpunkのボードゲーム版も担当しているらしく、そちらも気になるところ。

Nemesis | Board Game | BoardGameGeek

ネメシス 日本語版 | ArclightGames Official

世界観

まだ文明が興ったばかりの古代人類。そこには人類に恩恵をもたらす宇宙人がいた。
プレイヤーは宇宙人に選ばれた統治者として、自らの文明を発展させていく。

宇宙人の目的は何だろう……?

ルール概要

ゲーム目的

ゲーム終了条件:トリガー式

  • 1人のプレイヤーが3つの寺院トラックを制覇
  • 金リソースのサプライがなくなる
  • 区域カードのサプライがなくなる
  • 塔ディスクが3色以下になる
  • 市民ダイスが1色なくなる

得点方法(ゲーム中)

  • 一部建物の建築効果
  • 区域の設定(2×2を指定色の建物で揃えるパズル要素)
  • 軍事トラック(レース要素)

得点方法(ゲーム終了時)

  • 金リソース
  • アドバイザーダイスの数
  • 3つの寺院トラックに置かれた自分のディスクのうち下位2つの合計点
  • 「区域に置いたダイスの数値(プレイヤーごと)×色が一致する塔の高さ(プレイヤー共有)」の合計

コアメカニクス

ダイスプレイスメントゲーム。

赤、水色、黄色、オレンジ、紫の5色(と無色扱いの白)と、1~6の数値を活用するメカニクスとなっている。ダイスの色と数値が、ワーカーの種類と強さを表している。また、どの数値にも対応できる無色ワーカーとして統治者コマが各プレイヤーに1つだけ与えられる。

ワーカーとしてダイスを手に入れる際は、基本的には既に数値を出したダイスを選んで手に入れるのでダイス運はそれほど影響しないと思われる。マルコポーロよりはテオティカワンより。

多くのアクションは、5つの宇宙船から1つを選ぶダイスプレイスメントによって実行される。各宇宙船は1~6の数値を要求するが、数値の不足分はリソース消費によって補うことができる。各宇宙船が指定する数値は、ゲーム開始時は1で、使われる度に1増える(6だった場合は1に戻る。)。

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ルールブックより。各宇宙船に1〜6の目のダイスが描かれている。

宇宙船への訪問によって実行できるアクションは、宇宙船のあるメインボードに描かれた2種類から1種類を選ぶ(数値6のダイスは両方実行できる。)。

宇宙船にはダイスと同じ5色がある。宇宙船とダイスの色が一致する場合、メインボードアクションに加えて、色別のボーナスアクションを実行することができる。

メインボードアクションの組合せは固定だが、どの色の宇宙船がどの組合せを担当するか、すなわちメインボードアクションとボーナスアクションの組合せは、ゲーム開始時にランダムで決まる。

ダイスの数値を上げる簡易な方法はダイプレに使用することだ(使用されたダイスはラウンド終了時に1上昇)。その他、メインボードアクションや、寺院トラックから得られる効果の中にダイスを育てるものがある。

6のダイスの数値を増やそうとした場合、そのダイスはワーカーとして使えなくなる代わりに、アドバイザーとして保持することになる。アドバイザーは各色1つずつ保持できるが、アドバイザーの数に応じてが終了時に得点(1/3/6/10/15)を得られる。また、ゲーム開始時は無色扱いであった統治者コマが、アドバイザーと同じ色の条件に対応できるようになる(統治者コマであっても、アドバイザーと同色の宇宙船であれば、宇宙船への訪問によってボーナスアクションを実行できるようになる。)。

主要アクション

リソース獲得やワーカーの管理の他、得点に繋がるアクション(そしてミニゲーム要素でもある)として、①建物の建築、②軍事トラックの上昇と戦闘、③寺院トラックの上昇の3つがある。

①建物の建築(パズル要素)

建物を建築は、主にメインボードアクションのアクションによって行うが、建物の購入や建築にはそれぞれリソースが要求される。

建物には建築時に発動する効果がある。その効果は概ねメインボードアクションに匹敵するが、勝利点を生むものもある。

建物にもダイスと同じ5色+無色がある。建物の配置は建築済みの建物に接するように並べていくが、ゲーム開始時にランダムで選ばれた区域カード(プレイヤー共通の目標)が指定する色の並びを完成させると、区域カードに記された勝利点を得ることができる。

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ルールブックより。2✕2の区域を完成させたとき、中央の青部分にダイスを置く。

また、完成した区域にはダイスを置くことができ、そのダイスの数値は建物の効果等で言及するものがあるほか、ゲーム終了時には勝利点に影響する。このゲーム終了時の勝利点は、プレイヤーが共有で建築している5色の塔の高さとのかけ算であり、どの色のダイスをを置くか、どの色の塔を伸ばすかは長期的な指針になりそうだ。

塔の素材となるディスクのストックは共有で、しかも色によってストックの数が異なる(ゲーム開始時に決まる)。塔の建築自体がちょっとしたレースと駆け引きになっている。

②軍事トラックの上昇と戦闘(レース要素)

メインボードアクション等によって、軍事トラック上の自分のコマを進めることができる。

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ルールブックより。反時計回りにコマを進めていく。

特定のマスの通過によって追加行動ができるトークンを得ることがある。

メインボードアクション等によって戦闘を実行したとき、自分のコマのある軍事トラックに描かれたリソースを獲得できるほか、自分のコマの位置や自分より下位のコマの数に応じて勝利点を得る。

また軍事トラックで第一位のプレイヤーが次のラウンドのスタートプレイヤーとなる。

③寺院トラック(レース要素)

メインボードアクション等によって、三つの寺院トラックのコマを進めることができる。

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ルールブックより。画像4番の位置にゾディアックカードが置かれる。

3つのトラックのうち、下位2つコマの位置がゲーム終了後の勝利点に繋がるほか、ラウンド終了時に各寺院トラックの第一位のプレイヤーは、次のラウンド中、各寺院に置かれたゾディアックカードを保持することができる。

ゾディアックカードの効果は、「新しいダイスを獲得したときはそのダイスの数値を1加算できる」など、何らかのアクションを常時強化するものとなっている。

リプレイ性

プレイヤーごとの固有能力はないが、3つの寺院トラックで第一位のプレイヤーに与えられる3種類のゾディアックカードは、ゲーム開始時に12種類の中からランダムで選ばれる。

また、ゲーム開始時に決まるメインボードアクションとボーナスアクションの組合わせによっては、色間に強弱の差が生まれ、異なるゲーム展開を生むかもしれない。

インタラクション的な要素としては、アクションの先取り、建物タイルの先取り、ダイスの先取り、塔の建築のレースと駆け引き、寺院トラックの1位争い、戦闘力争いなどがある。

雑感

大きな得点源の1つとして、ゲーム終了時の「区域に置いたダイスの数値×色が一致する塔の高さ」の合計得点がある。建物の効果やボーナスアクションによって、シナジーを得られるアクション及び得点源は色ごとに棲み分けられている。

戦略としては1色に集中したほうが伸びそうだが、得点を伸ばすには建物タイルが必要で、リソースが必要で、追加のワーカーダイスが必要でということになるが、そのためのやりたいメインボードアクションは巧妙に分けられている。
1色に特化するのは難しく、幅広い色を活用する必要がありそうだ。

ダイスは使うことで数値が上がる一方、宇宙船も使われることで要求数値が上がる。当然、宇宙船に訪問するのは自分だけではないし、統治者コマもあるので、ダイスの数値が足りないという場面が多くなりそうだ。
地道にダイスを育てるか、リソースを消費するか、統治者コマを使うかしないと高い数値には対応できない。

ゲームの鍵を握りそうなのは、宇宙船の要求数値が6から1に戻ることではないだろうか。新しい色に手を出す絶好のタイミングとなるし、同時に他プレイヤーにとっても選択の幅が広がってしまうことを意味する。
宇宙船の要求数値が1に戻るタイミングの見極めと、そのチャンスに上手く対応できるようにしておく(反対に他プレイヤーが嫌なタイミングで1に戻す)ことが、幅広い色を活用することを可能にし、ひいては点数を伸ばすのではないだろうか。